HATA

12月1日からの会期にて「HATA」写真展を開催いたします。

本作品では、二次元のメディアである写真に空間と時間を織り込み、四次元的表現をおこないました。
撮影した対象は、祖父の別荘で桐箪笥に仕舞われ、私が生まれるずっと前から放置されていた着物です。誰のものかもわからないその一つ一つには親族の営みが染み込んでおり、連綿の帯の上に私が存在します。これを解放し、立体として撮影することで、もの自体が所有する時の流れの迫力を写し込みました。一連の作業を通じて、薄れていたあの場所の記憶を手触りのある実感として取り戻しました。
 誰でも入手可能な情報で満ちる我が身を伴いながら、自分らしさを明らかにするのは過去の体験の紡績に他なりません。
自由が丘は、あらゆる街が均一化されていく時代に飲み込まれず、固有の街並みとそこにある人々の営みを保ちながら未来に向けて構築しています。 今この場所でこの作品を発表できることを嬉しく思います。

齋藤 日南子 
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